
様式の8要素
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写真のジャンプ率
しゃしんのジャンプりつ
写真のジャンプ率
ジャンプ率とは、大小差のこと。誌面の中で一番小さな写真と最も大きな写真との比率を写真のジャンプ率という。写真のジャンプ率を高めると歯切れがよくなる。逆にジャンプ率を低くして、すべての写真や絵を同じ大きさにすると、穏やかな印象になる。
高いジャンプ率

低いジャンプ率

[雑貨の本](改作)
大小差を少なくすると穏やかに
文字のジャンプ率は本文(ほんもん)を基準にするが、写真は文字のような明確な基準値がない。このため、最小面積の写真を基準にして、最も大きい写真との面積比率でジャンプ率を表す。
写真のジャンプ率の効果は文字の場合と少し異なる。ジャンプ率を上げれば元気になるとは限らず、写真の中に込められたメッセージ自体が決め手となるのだ。すなわち静かな印象の写真を大きくしても、元気にはならず、かえって静かさが強調される。写真のジャンプ率の効果はシャープさと歯切れのよさだ。比率が低いと穏やかな表情になる。

写真のジャンプ率を下げてみると、穏やかなイメージになった(改作)

本物の誌面。大小差を大きくしたら、切れ味の鋭い誌面に変わった。写真の大小差だけでこれだけの違いになる [Esquire]
商品写真を大きくすると堂々とした感じに変わるが、シャープさがなくなる。

(改作)

本物の誌面
大小差をつけシャープに

大小差の少ない誌面。下図に比べ、おっとりしている(改作)

小さめの写真を極端に小さくして写真のジャンプ率を上げると、すっきりとした誌面になる。主と従の関係がはっきりして、元気な誌面に変わった
[料理の基礎完全マスター]
大小差の少ない誌面

写真の大小差が少ないので、落ち着いて上品な感じになる(改作)

中央のトランクを思い切って圧倒的な大きさにした。誌面の中心がはっきりしたので、余白が少なくなってもかえってすっきりと見え、読みやすくなった
[MONO マガジン]
写真のジャンプ率とトリミングの関係
大小2つの写真枠に人物をレイアウトする時、大きな枠には、より拡大してアップにするのが原則。小さな枠には人物全体をロングにして、レイアウトする。写真の大きさと人物自体の大小対比が相乗し合い、緊張感が生まれる。空間の広がりも強調される。
大きな面積にはよりアップを

大画面には全身を入れ、小画面には部分を入れた方が自然に思えるが、実行してみると、常識的すぎて緊張感がなくなる。大画面に 全身を入れると対比関係がぼやけて、よどんだような誌面になった(改作)

原則通りに大画面にはアップをレイアウトする。大小差がより強調されて、シャープで距離感のある空間になった
[Esquire]

人物の大小差を抑え気味。抑えている分だけ穏やかな印象になっている(改作)

人物像の大小差が大きくなったら、生き生きしてきた。もう一度、左図と比べてみよう。この効果をチェックしておきたい