
様式の8要素
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版面率=余白量
はんめんりつ=よはくりょう
印刷された誌面は、目に見えない四辺に囲まれている。レイアウト用紙を設計する時に、まず最初に決めるのがこの四辺のアキであり、その内側が版面(はんづら、はんめん)である。

版面率 —— 余白量
レイアウト用紙には天地左右に一定幅の余白があり、これをマージンという。マージンの内側が文字を配置するスペースであり、版面(はんめん、はんづら)という。誌面全体に対し、版面の占める面積を版面率という。版面率が高いほど、天地左右のアキが少なく、余白が少ないことになる。
版面率は「余白の多少」でもある。C図のように、版面そのものは大きくても中味に余白をたっぷりとれば、版面率は実質的に下がる。

名刺の余白を広くすると上品に
版面が大きければ四辺の余白は少なくなり、版面が小さくなれば余白が多くなる。つまり版面率とは余白量の別称でもある。また、版面そのものは大きくても、その中間に余白を大きくとるレイアウトをすれば、結果的には余白が多くなり、版面率が低いことと同じ効果になる。
余白を小さくすると情報あふれる表現となり、余白を広くすると上品になる
下図の2群を比べてみると、Aは版面いっぱいに印刷しているグループで、Bは余白の多いグループだ。版面をどの程度広げるかによって、まったく違った印象になることがわかる。版面率を無視しては、目指すイメージをつくれない。元気よい名刺は版面率を高め、上品にする時には版面率を抑えなければならない。
A 版面率の高い、余白の少ない名刺
元気で熱心な営業マンにふさわしい




B 版面率の低い、余白の多い名刺
上品で静かな表情になる




高級化粧品の広告は余白を広く——品のよさ、上質感を訴えたい商品には広い余白が必要
図Bが実際の広告で、A図と比べ余白量を広くとっている。余白が大きくなったので、タイトルのジャンプ率(P.30)が低いままでも十分な効果が得られている。ゆったりとした落ち着いた気分で眺められ、上品な印象が焼きつく。
A

B

余白の少ない誌面

誌面いっぱいに文章が詰まっていると、情報がいっぱいで忙しいイメージになる(改作)
余白の多い誌面

このように余白をたっぷりとってみると、まったく違った印象になる。モチーフの持つ、ほのぼのとした温かい表情が、自然な形で伝わってくる
[家庭画報]
余白を詰めると情報あふれる誌面に
このページでは前の例とは反対に、高い版面率がふさわしいケースを紹介する。
図Aの余白を詰めて、版面いっぱいに埋めつくすと、表情豊かな盛りだくさんな印象になる。余白が多いままでは、これほどの情報感は表現できない。私たちが日常で触れる印刷物の中で、最も版面率の高いものは新聞だ。新聞が豊富な情報量をアピールするためには、版面率をぎりぎりまで高めることが必要なのだ。
A
(改作)

B
[MORE]

余白の多い誌面

余白をたっぷりとった表現。静かで上品な様子を伝えている
余白の詰まった情報あふれる誌面

裁ち落とし版を多用し版面周辺のマージン(余白)をも埋めつくした表現。車好きの若者に向けて、あふれるほどの情報量をアピールしている
[CanCam]