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様式の8要素

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図版率

ずはんりつ

文字だけの誌面は参加しにくい

誌面に占める図(イラスト・写真)と文章の面積比を図版率という。この比率はレイアウト様式の中でも重要な要素だ。何点かサンプルをつくって、自分が伝えたい内容にふさわしいのは何%の図版率なのか、チェックしてから作業に入ろう。

図ゼロの誌面

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全面文字だけの誌面は息苦しい。この様式は辞書や法令集などの特殊な用途に限られる(改作)

図が加わると文章も生きる

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写真が加わると、文字だけの左ページも急に美しく生き生きして見えてきた

Esquire

「図版率」と「視覚度(しかくど)」は何が違う?

図版率とは文章に対し図の占めている割合で、%で表示する。前ページまでの視覚度と似た物差しだが、視覚度とは視覚的な訴求力の「強さ」を言い、図版率は「面積比」だけを指している。誌面全体を文字だけで埋めつくされている状態が、図版率0%。反対に、写真やイラストだけで文字のない誌面は図版率100%。小説や詩集のように文字主体の誌面であっても、10%程度の図版率にすると、かなり読みやすくなる。ちなみに新聞の連載小説の図版率はおおむね30%前後であり、多くの読者に読ませようとするねらいが込められている。

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図版率0%

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図版率約25% 太陽

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図版率100%

文字ゼロの誌面は無言の空間

当研究所調査によると一般的には、図(イラスト・写真)が増えるほど、好感度が増す。特に図版率50%前後で急に好感度が高まる。しかし、図が90%を超えると、一転して好感度が下がってしまう。文字がまったくなくなると、無言の空間になり、いたたまれない気分になるようだ。文字を少しだけ加えてみると、かえって図が生きてくる。

大学サークルの求人チラシ

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ハンググライダーの存在が、静かで音のない空間を、シンプルに表している。しかし…

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文字を少し加えると、気詰まりな空気が和らいで、コミュニケーションがスムーズになった。

ユニークな図によって、このクラブの性格が伝わってくるが…

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絵は強い印象を与えているが、文字を加えてみると、文字によるメッセージも欠かせないということがわかる

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本記事は1998年発行の「レイアウト基礎講座」(著:内田広由紀 発行:視覚デザイン研究所)を底本として再編集し掲載しました。「レイアウト基礎講座」では多くの優れたレイアウト作品、新聞広告から名刺、求人チラシまで広く紹介しています。これらの作品によってレイアウトの仕組みがよく理解できたと思います。あらためて、制作関係者の皆様に感謝申し上げます。

以下に雑誌のリストを掲載させていただきます。情報は書籍発行当時のものです。

リストの見方

雑誌名 出版社名 出版年月 編集人 底本の掲載ページ-雑誌の掲載ページ

レ:レイアウト AD:アートディレクター CD:クリエイティブディレクター D:デザイナー AA:アートアソシエイツ DA:デザインアソシエイツ P:写真家 I:イラストレーター

Esquire (株)エスクァイア マガジン ジャパン 1997年8月 DAVID GRANGER 沢田博 AD:桜井久 D:鈴木香代子 下迫綾美 古川義弘 渡部英郎 23-154(P:久家靖秀)

太陽 (株)平凡社 1998年7月 石川順一 AD:藤本やすし+キャップ CD:中村香織 D:小澤和 中島寛文 23-56(P:ISAO HIRACHI)

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